【犬山市街6】

犬山城と城下町






イメージ 1

犬山の城下町には、由緒ある神社やお寺、数多く残る町家建築など多くの歴史的な資産が残っています。平成15年1月には、政府が進める全国都市再生のための緊急措置の対象都市の一つになっています。



イメージ 2

犬山市には国宝(昭和10年指定)の犬山城があります。犬山城尾張藩の支城(本城の他に持った城)であり、御付家老(成瀬家)が入っていました。



イメージ 3

 三万五千石の城下町として繁栄したこの町は、町家を含む城下町全体が外堀(現在は埋められています)で囲まれ、小規模ながら日本では数少ない城塞都市(総構え)を形成していました。(城の総構えとは、城の外側を囲む外壁をいい、武士の居城と城下町の町家全体を囲うことです。)



イメージ 4

 犬山城下町は、かつては犬山祭りをはじめとする町衆文化が花開き、多くの人や商品・情報の集まるところでした。しかし、近年は中心市街地の空洞化が進み、城下町や犬山祭りという犬山市独自の歴史的・文化的資産や、これを支える地域のコミュニティが崩壊してしまい、犬山市そのものの衰退につながりかねない状況でした。



イメージ 5
 そこで平成13年3月に、中心市街地活性化基本計画(城下町再生計画)が策定されました。過去の町並みの復元などカタチだけの継承(再生)ではなく、かつての城下町と町衆の心意気や精神を受け継いだ「人が主役の暮らし」を実感できる城下町をつくろうというものです。



イメージ 6

 まちの将来像は「歩いて暮らせるまち」です。クルマを気にせず、安心して歩け、毎日の買い物など必要なものは、すべて歩いて行ける範囲で手に入るまちです。
 幸い犬山城下町には、「歩いて暮らせるまち」を実現するうえで貴重な資産となる古い町並みが、まだ数多く残されています。




イメージ 7

伝統様式の家屋は古くは江戸時代に建てられたものがあります。そうした家屋が老朽化により取り壊されることは避けられないことです。その場合、家屋が取り壊された跡地がどのように利用されるのかにより、景観がさまざまに変化します。



イメージ 8

 まず、取り壊された跡地が空地、もしくは青空駐車場になる場合です。この場合によく見受けるのが、隣りの家屋の妻側の壁が露出されてしまうことです。下見板張りなどできれいに化粧されているものは少なく、多くは波型のトタン板で覆われています。これは景観上美しいとは言えません。
 次いで、住宅などに建て替えられる場合です。その場合に問題になるのが、前面に駐車スペースを確保するために、外壁面をセットバックすることです。たとえ伝統様式に修景されていても、外壁面をセットバックしたために、景観が途切れてしまいます。また、セットバックしたために、隣りの家屋の妻側の壁面が見えてしまうということもあります。



イメージ 9

 もう一つは、近代的なコンクリート建築物に建て替える場合です。コンクリート建築物では、3階建て以上にすることが容易にできます。こうしたコンクリート建築物は、どうしても木造の伝統様式の家屋とは、景観面では調和しません。本町通りでは、敷地面積の8割を使って5階建ての建物を建てることが法的には可能となっています。
 木造家屋に建て替える場合は、伝統様式に合わせて、窓に格子をつけるといった修景を行っている家屋もあります。ただ、こうした格子も新しい家屋ではアルミ製のようで、木の格子ではありません。これは、犬山城下町が都市計画法による準防火地域に指定されているためです。


イメージ 10